《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
キョロキョロしていた私は、三浦のいた方向をもう一度眺めた。

あれ、もうホームに出たの? 早過ぎない? なんだ、私を待ったりしてないんじゃん。

気を回して損した。初めから私と一緒に通勤電車に乗る気なんかなかったんじゃない。

ホームに上がって見まわしても、三浦の姿はなかった。

何、あいつ。

せめて「お先に」とか何とか挨拶すべきでしょう? なんの挨拶もなしに自分だけ先に行くって、かなり冷たいし、ホントあり得ない男だ。





通勤電車というのは、なんとも感心するくらい毎朝、沢山の人で混雑している。

みんな仕事や勉強するために無駄口もたたかずに黙って電車に揺られている。

みんな、私を含めて偉いもんだと思う。毎朝、誰も文句言わずにぬーっと立って揺られているんだから。


満員電車の中、やっとの事でつり革をゲット出来そうだった。


手を伸ばしてつり革を掴もうとした瞬間
に電車が大きく横に揺れた。


後ろの人たちにおされてバランスをくずし、私の体は前のめりに倒れそうになっていた。

「わっ!!」

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