《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
この腰にまわっている手。
見上げてみると三浦は、平然とした顔している。
三浦に引き寄せられているこの状態をなんとかしたかった。
かといって混んでいるから完全に離れる事は無理だと思うが、これはくっつきすぎだ。
「あんたがまた、よろけて他人に迷惑をかけるとさ、知り合いの俺まで迷惑がかかりそうだから……おさえてやってる」
やってる? まただ。カップも買ってやったと言ってたし、今もまた、おさえてやってる。
いつも恩着せがましい男でホント気が滅入る。
「は? やってるって何よ。べ、別に頼んでないし!」
「頼まれてないよ」
「だったら!」
離してくれと電車の真ん中で叫びたかった。