《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
三浦の手は大きくて骨ばっていた。

手を動かすのがなんとなくためらわれ、つかまれたままでいた。

「あんたの指、細いな」

なんか……かーーーっと体が熱くなる。そんな事を今言わなくてもいいと思う。三浦の一言で自分でも呆れる位に照れていた。


性格は悪い男でも見た目は凄くイケメンだし、なにげに隣にいるといい香りする。手は大きくて、握られていると包まれているように感じるし、何しろすべすべしてる。

だから、なんだか……どきどきする。

自分でもかなり妙な気分だった。


満員電車の中で変な気分になる私は、自分でもかなりいかれているような気がしてきた。

好きでも無い男に手を握られて、ドキドキするなんて。なんか、ただの淫乱で欲求不満な女なんじゃないだろうか?

イケメンに手を握られてドキドキしたとしても、この手は、あの性格が悪い三浦なのだ。

合コンの日を思い出してみよう。こいつは、いらない駒を排除する役割だと酷いことを言って私を傷つけた男だ。

三浦を睨むように見上げた。

頭にくるほど整った横顔だ。高い鼻も鼻持ちならない。長い睫毛を見せびらかすみたいに生やしている。

私の視線に気がついたのか、三浦は私を見おろした。


うっ……。


まずい。

なんていう目をして私を見るんだろう。
イケメンって……なんてズルい。

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