《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
改札を通り並んで歩道を歩いていく。
「待ってね〜し……たまたま一緒になったんだよ。誰が待つかよ」
相変わらずの真っ赤な顔色だ。三浦は、白人みたいな肌の色をしている。だから赤くなると余計に目立つみたいだ。
「はいはい、たまたまね。で、あんたさ、なんでさっきから赤いの? か〜お」
三浦の顔を人差し指でさしてみた。
私の質問に跳び上がりそうな驚き方をみせる三浦。いや、実際にそのままガードレールに激突しそうな勢いで跳んだのだ。
「!」
「待ってないのは、わかった。でもさ、あんたの顔が赤いのは、なんで?」
どうしても三浦の顔が赤い理由をしりたいと思った。
「言うほど…あ、赤い?」
三浦が赤くりんご病みたいになった頬を触りながら私を見る。
「赤い」
見た通りを言ってやる。
「それは、その、ま……まあ、最近、女とそういう事がなかったからかなぁ。あんたが相手でも妙な気分になっただけで……」
そう言って若干早足になりながら、掌を握ったり閉じたりしている。
相手が私でも妙な気分? やだ、こいつ朝から変になってるんじゃないの?!
「やめてよ、私に妙な考え抱くの。すご〜く迷惑だから」
「はい? なに?」
「聞こえないの? いい? 一度しか言わないからね。わ、た、し、に〜妙な感じにならないでもらえます? 大変迷惑だから」
本当に妙な感情をもってもらいたくない。三浦とは金輪際、会わないつもりでいるのだから。
「な! なんだよ?! あんた頭おかしいよ」
「自分で言ったんじゃないさ、私に妙な気分になったって」
「いや……だから……その、俺の勘違いだから」
「今さら弁解ですか? きついなぁ。もう聞いちゃいましたから、あんたの本当の気持ち」
「お、俺の本当の気持ちってなんだよ」
赤くなって、どもる三浦が新鮮だ。いつもみたいな自信満々な感じが完全になくなってきている。
だから、更に追い討ちをかけたくなってきた。