《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
あの三浦が私に妙な気分を抱いただって?
口元が思わずほころぶ。
一応、女として見られてんだ私。あの三浦に…、ウケる。
準備とかタイミングって何だろう。まさかの浮かれた考えが頭に浮かぶ。
まさかね……。
もうすぐ30歳だ。自分の状況は、しっかり見えている。
ありえない誤解は、しないつもりだ。それに三浦には、もう会うことも無いし、話をすることも無い。
それでも、赤くなっていた三浦を見たら、私に図星なところをつかれたからのような気がしてしまう。
私に惚れた? はったりをかましたつもりだった。
だが、まさかの図星だとしたら?
私は歩きながら自嘲した。
馬鹿みたい。性格悪くても三浦は誰もが認める年下のイケメンだ。
引く手あまたのあんな男が私に惚れたと言うんだとすれば、それは、きっとたちの悪い冗談だ。
だって、私はただのしがないOLにすぎないんだから。
朝から気分が滅入ってきた。
それもこれも朝から最も会いたくない男に、まんまと会ってしまったからだ。
ツイテナイ日は、とことんツイテナイものだ。これ以上芋づる式に変な感じにならないよう注意して過ごそう。
それしか私に出来ることは無いように思えた。