―異世界物語―


「....ない....か....」

少なくとも目に見える範囲では、俺の身長に合う良さそうな長さの木の棒はなかった。

「こんなところ、誰もいないだろ....どうするか....」

四つん這いになって移動するという手を考えたが、それは少し恥ずかしい。

「けど、最善策っちゃあ最善策....なんだよな....」

他に策が浮かばない限り、四つん這いは最善策だ。
幸い、周りには木々や草木が生い茂っていて、人の気配はおろか、鳥の鳴き声すらない。

「....」
俺は誰にも見られないことを祈りつつ四つん這いになって出口を、あわよくば木の棒を見つけに進み始めた。
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