憧れ~大切な君へ~
目を覚ました時は既に日付が変わっていた。

『龍…涼ちゃんが…』
『ん…?兄ちゃん…?』
『涼ちゃん…脳死だって…』
『嘘だ!!兄ちゃんが死ぬはずないだろ!!』
『さっき先生が…』

俺は恵梨の言葉が信じられなかった。

兄ちゃんは俺の兄ちゃんだ。

そして恵梨にとっても本当の兄ちゃんの様だった。

兄ちゃんを見るといつの間にか沢山の管は外されていた。

恵梨は涙を流した。
大きな声で兄ちゃんの名前を呼びながら・・・

だけど俺はそれをただ見つめている事しか出来なかった…

涙なんて1滴も出なかった。

俺は冷たい奴だな…
大好きな人の死を目の当たりにしても涙が出ない様な冷たい男だ…
< 10 / 23 >

この作品をシェア

pagetop