高のち飛車、ときどき猫
仕方ないから女に乗ってみよう。
所詮幻覚、それは一夜の夢幻が如く、だ。
『お祖父ちゃんとお祖母ちゃんしかいないし、きっとこの子達を歓迎してくれるよ。動物好きだしね』
ふぅん……って、お前両親はどうしたんだ?
この女は確かに『私ん家』と言った。
つまり祖父母と暮らしてる事になる。両親抜きで。
まさか……オレ等と同じで、捨てられた境遇なのかこの女?
“だからこそ共感しているのか?”
とまあ、幾らなんでもそれは考え過ぎか――
『家には犬もいるし……』
だが祖父母が動物好きなのは確からしい。
老人は人生の終焉に近いのか寂しがりやが多いので、オレ達のような小動物を心の拠り所にしたがる。
老人はある意味、人間の中で最も害が少ない種族なのかもしれないな。