高のち飛車、ときどき猫
「――それにしても良い人に拾われたみたいだし、良かったわねアタシ達」
「でもママが……」
「もう諦めなさいって。あの人達はママの飼い主とは違うのよ」
車内道中、落ち着いたのか兄弟達でそんな馬鹿なやり取りが交わされる。
「きっとこれから夢のような、新しい生活が始まるのね」
「う……うん。でもボク上手くやっていけるかなぁ……」
夢とか希望とか呑気な連中だ。安心するにはまだ早かろうに。
門前払いだって有り得る。人間を信用しきるのは余りにも愚の骨頂だ。
「大丈夫よ。早く着かないかなぁ?」
何を根拠に大丈夫だ馬鹿が。
この先にあるのはヘブンズゲート処か、ヘルズゲートが待ち受けているかもしれないのだ。
その時にはスタートリターン処か、保健所ガス室行きの可能性を何故考えない?