高のち飛車、ときどき猫
ゆらり揺られて生前の走馬灯。
思えば大した猫生非ず。
浄玻璃の鏡に映るは罪の面影――って、オレの罪って何だよ馬鹿。
もはや思考もおぼつかない。願うは減罪。
男に抱えられて進むのが、まるで未来永劫、悠久の刻にも感じられた刹那――
『ただいま〜』
女の断罪の掛け声と共に鳴り響く、ガラガラーンとした取手音。
遂に開いてしまったのだ。
ヘルズウォーゲート……オープン!
辺獄に踏み入れた瞬間、それまでの凍てつくような寒波とは裏腹の、生温い地獄特有の魔気に覆われたのだ。