高のち飛車、ときどき猫
『おっけぇ! 温めてくるよ』
弟は姉から“ブツ”を受け取り、重そうな身体とは裏腹に軽快な動作で使命を全うしにいく。
こいつの格付けは冥府の裁判官、ミーノスに位置するのだろう。
ミーノスにミルク、上手いなオレ。
我ながらその絶妙な比喩に自己満足な悦に入ってしまったが、事態が未だ危機的状況である事に変わりはない。
「どうなるのアタシ達……」
「こっ……恐いよ!」
それはオレが知りたい。
ようやく自分が置かれた立場を理解したのか、兄弟達も不安を募らせていくがもう遅い。
オレ達の命運は奴等の手のひら。気まぐれな獄卒の指示一つで、オレ達の地獄等級が決定するのだ。
せめて……
せめてオレだけは、コキュートス行きは勘弁してほしい。