高のち飛車、ときどき猫

――ここに連れてこられて、どの位経っただろうか?


いっその事、ひと思いに楽にしてくれりゃいいものを――


“良い人に拾われろよ”


それがオレの聞いた、奴の最後の言葉。


ふん……只の偽善だ。要は自分の手を汚したくない、という似非正義を振りかざした体の良い言い訳に過ぎない。


飼えないなら最初から飼うなよ馬鹿。てか産まれて困るなら避妊手術位済ませとけ。


弱い者は死ぬ。それが自然界の掟。人間だけが変な理屈をつけたがる。


あぁそれにしても腹減った。


早く楽にしてくれないかな?


死は誰にでも平等に訪れる。


無駄に生きてるからこそ、色々と苦しむのだ。


死んでしまえば苦しむ必要も無い。


ただ無に還るだけなんだから。
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