君に出会えたから



どうして理解しなくてはいけないんだろう?





そんな俺を見て母は自分のせいだと泣き出した。





俺は突っ立って母が泣きやむのを待っていた。


それしか出来ないし。


それしか考えることが出来ない。



確かカウンセリングの先生は、泣いて居る人がいたら…












なんて言ってたっけ?

ろくに聞いてないから肝心な
とこが抜け落ちている。


何でこうもすぐに、
しかもこんな病院の廊下の真ん中で

試される事になるんだろう?



皆がおかしそうに見ている。






まぁいいや。俺は秦【じん】この家族に引き取られたのは二年前の事だ。





3才の時に施設に預けられ


12歳になるまであの施設で育った。


そしてこの家に引き取られた。





あの施設に友達なんてものもなく
こんな俺に関わろうとする子なんて居なかった。









…でも一人だけ居たっけ?












女の子が…













すぐに引き取られちゃったから覚えてないけど…










いつもみんなに囲まれていた子だった。










なのに、
一生懸命俺に話しかけてきてた。














すぐに引き取られちゃったからあんまり覚えてないけど。













その子との別れの時
なぜだかは分からない。






施設の近くにあった花をそっと彼女の鞄に忍ばせたんだ。







誰も気付かれないように




それは彼女に似ていた。











彼女は満たされることのない思いにに苦しんでいた。











静かに、ヒッソリと…
< 2 / 5 >

この作品をシェア

pagetop