【あなたと私で創るものがたり】
──間もなく死体は発見され、テレビを賑わせる。
残されたメモは大衆の興味をそそり、死んだ男の過去を暴いていった。どういった学生生活を送り、どういった会社勤めをし──書き立てられた文字が雑誌に躍る。
そうしてすぐに斉藤と呼ばれる友人は指名手配となり、一ヶ月後に溺死体で発見された。
崖下に落ちていた小さなノートには、たったひと言「納得のいく例じゃない」とだけ書かれていた。
『考えろ』
死体に残されたメモに、あなたは何を見る──
END
2022/07/27 推敲