【あなたと私で創るものがたり】
「ど、どうしよう……」

 このままスルーっていうのも悪い気がする、かと言って誰かに言う勇気もない。

「こ、交番」

 一度も行った事の無い交番の場所なんて解るはずがなく、光男はオロオロとした。

「こんなとき戦艦があれば──」

 被害は甚大です。

「どうした少年」

 背後から助けの声、少年は嬉しくて振り返った。

「あ、あの。あそこ」

「ん? ああ? でっけぇ蜂の巣だな、スズメバチか?」

 眉を寄せて健二がのぞき込む。

 どうやら立ち直ったらしい、くよくよしても仕方がないと吹っ切れたのだろう。

「そこまでは解りませんが……」

「しかしこりゃちょっと危険だなぁ」

「なになに?」

 雪菜が騒動の予感をかぎつけて問いかけた。

「あそこ」

 いきなり女性の登場に光男はビクッと一瞬、体を強ばらせたが怖々と蜂の巣を指差す。
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