【あなたと私で創るものがたり】

*納得出来ない死/ホラー

 
 夏の昼下がり──二十代後半の男は、目の前の死体を冷ややかに見つめていた。

「……」

 無言で向ける視線に、さしたる感情は見て取れない。

 つい先ほどまで生きていたであろう死体の顔を見やり、苦々しい表情を浮かべた。同じ年齢だと思われる男の死体は酷く傷つけられ、赤黒い液体が周囲を彩っている。

 うだるような暑さに似つかわしくない冷たい瞳が、息をしていない男を見下ろす。

 太く短い黒髪をかきあげると、男の片眼は常に閉じられていて機能していない事が窺えた。
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