【あなたと私で創るものがたり】
「嫌だって言ってるじゃん!?」

 拳に肌の感触がして私は動けたと喜んだ。

 そして、目の前に怯える中年の男がうずくまっていた。

「何よあんた」

 男はガタガタと震えて、へたり込みながら壁際までずりずりと下がっていった。

 こちらに向けている手でそいつがあの幽霊だと解ったときには私の怒りは頂点に達していた。

「どういうつもり!? は? 事故で死んだ?」

 幽霊はこくこくと必死で頷いた。

「それでどうしてこんなことするのよ。風俗に行く途中で事故? なによそれ」

 幽霊はこんこんと説明を始めた。

 三十五歳で今まで彼女の一人も出来ず、エロビデオばかりを見ていたが風俗に行くことを決意して向かった矢先に信号無視の車にひき逃げをされた。
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