【あなたと私で創るものがたり】
「きっと、その猫ちゃんに会いに脱走していたんでしょうね」

 ぼくを見て言った。

 飼い主さんはぼくを抱きかかえて、いつもしてるように頭を撫でてくれたけど、ぼくの気のせいかな。

 手がちょっとだけ震えてるみたいだ。

「猫にも好みがありますから、ペットショップの人に聞けば解るかもと、あいつが持ち帰っていたエサを見せて回りました」

「この子、二ヶ月くらい前にえらく走り回っていたことがあるんです。一週間くらいそわそわして」

「あ、脱走防止にケージに洗濯ばさみを挟んだときだ」

 なに? 二人でぼくをじっと見て。

「あいつ、もうよろよろで……。最期を看取ることが出来て良かったです。ハムスターにしては長生きな方だったんですよ」

 男の人がテーブルの上に置いた写真を見て、ぼくは思わず飛び乗った。

 じーちゃんだ。

 これ、じーちゃんだ!
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