【あなたと私で創るものがたり】
「大丈夫なのかな?」

「何がじゃ。ああ、彼女は悪霊じゃないぞ」

 むしろ自分と同じ不幸な事故に遭わぬようにと見張っているとじーちゃんが言った。

「ふーん。じゃあ、いい幽霊さんなんだね」

「とはいえ、いつ悪霊になるかはわからんがな」

「じーちゃんも飼い主さんに取り憑けば修行とかしなくてもいいんじゃない?」

「飼い主だけならそれでいいのかもしれんがの」

 じーちゃんは自分の飼い主だった男の人だけじゃなく、僕と僕の飼い主さんも護りたいから、それには正式な守護霊になって力を持たないとだめなんだって。

 ちゃっかりそういうの考えてたんだな。

 なんか嬉しいな。

 ねずみに護られる僕ってどうなのとか思っちゃうけど、じーちゃんならいいや。

「それじゃあ、あっちは?」

 僕が差した方を見たじーちゃんの顔色が少し暗くなったような気がした。

 ねずみの顔色ってよくわかんないけど。
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