【あなたと私で創るものがたり】
「ク、クク──ざまあみろ」

 私は歓喜した。心の底から笑った。

 私の願いが神に通じたのだと、いつまでも笑い続けた。

 次の日、二人の刑事が尋ねてきた。

 男が線路に侵入した理由がどうしてもわからないのだと言う。

 薬物反応もアルコール反応もなく、遠方にあった監視カメラの映像では何かに導かれるように電車に向かっていったという。

 それなら私を疑う事もおかしな話だが、少なからず過去の経緯から辿って形式上の聞き込みをしていると説明された。

 そうして、遺品の写真に私は驚愕する。

 血まみれのシャツは私が作ったものだ、間違えるはずがない。

 巡り巡って男の元にたどり着いたのだろうか。

 それとも、誰かが男にプレゼントしたのだろうか。
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