【あなたと私で創るものがたり】
 理由はわからない。

 しかし、この薄水色のシャツは憎しみに震えながらも製作したものだ。

 いわば、私の呪いが詰まっている。

 そこまで考えて私は恐ろしくなった。

 黒い意思があの男を殺したのだとするならば、私には呪いを具現化する能力(ちから)があるということだ。

 もちろん、それが事実だとしても私が罪に問われることはない。

 刑事はひと通りの話を聞いたと仕事を終えて去っていく。

 私は二つの背中を見送りながら、幸せであった時の記憶を思い起こし幸運のストラップがよもや真実のものであったのかと己の手を見つめた。

 そうして私の恨みは果たされた。

 これで楽になれると考えていたが、それは浅はかな意識だった。



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