【あなたと私で創るものがたり】
 私を止める者などいやしない。

 手にしたものに不運を招く力があるなどと、誰も考えたりするものか。

 誰もが不幸になれば、私の過去など同情に値するものではなくなる。

 哀れみの眼差しを向けられることもない。

 己が最も不幸なのだと高らかに自慢しあう世界となればいい。

 しかし、それでもなお、心の奥底では妻の声が私を制止する。

 この声がまだ響いているいまならば、私を止めることが出来るだろう。

 だけれども、交流の全てを断った私の様子になど気付く者はいない。

 さあ、止めてみせろ。

 私の手から紡がれてゆく不運を──私からあふれ出る狂気を!


 もろともに滅びる勇気があるならば、私を止めてみるがいい。

 私は喜んでそいつを道連れにしてやろうではないか。



 息子の声が私の耳に微かに残る今ならば──まだ……




END
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