臨時合唱部員
0.プロローグ
　ーあっという間に過ぎていった3年間。

やっぱり今年も桜は間に合わなかった。

近所の梅の花は華やかに咲いている。

ふと思ったけどこの道を通るのはこれが最後かもしれない。

そう思うと急に人気がないように感じられた。



いつの間にか見慣れた学校につく。

駐輪場では少ない時間を名残惜しむように女子が5、6人ほど集まっている。

自転車を止め、いつものようにバカを待つ。

｢よぉ、アキラ！｣

バカがいつものように軽快な声でやってきた。

｢お前、ホント朝からテンション高いよなー。｣

コイツのハイテンションも今日でお別れか、そう思うと少し寂しい気がする。



くだらない話をしながら昇降口につく。

けどいつもと違う光景。

そこには在校生と視界いっぱいの飾り付けが広がっている。

在校生が一礼し祝いの言葉を述べる。

俺らも感謝の言葉を述べて一礼し花の飾りをもらう。

胸ポケットにさすような飾り物だけど今日コレをつけてしまったらこの学校には帰れないような気がした。
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