隣に座っていいですか?
「再婚ですか?」

「ええ、うちの親が持って来まして。桜の為にって……僕が再婚すれば亡くなった妻の方の両親も安心するだろうからと」

「まぁそれもアリですね」

「桜も、熱を出しうなされながらも、母親を探してましたし。必要なのかなと思いまして」

会話が遠い
何を話しているのだろう

ただ私は
目を離さない彼の瞳を
まっすぐ返すだけ。

「お二人もお幸せに」

ニッコリ笑われて
私の目線を外してそう言われた時

やっと私は

全ての会話を理解して




心の中が


空っぽになっていた。


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