隣に座っていいですか?

男手ひとつ

小さな子供と共に生活は始まる。

翻訳家という
固定しない職業ではあるけれど
あちこちの出版社へ足を運び頭を下げ、仕事をもらって娘とふたりの生活を過ごす。

なるべく泣かないように

桜が寂しくならないように
桜に心配かけないように

子供とはいえ
見くびってはいけない
大人の心を察してしまうので、不安にさせてはいけない。

笑顔を見せよう
桜の為に

夜は寝むれない日々が続くけど

娘とふたり
笑って過ごそう

きっとそれが
妻に対する
最大の供養だから。

色々と失敗はあるけれど
それでも
桜と一緒に過ごし

不眠症は直らないけど
まだたまに
妻を想って夜中泣いてるけれど


季節は巡り

桜の季節になる。



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