隣に座っていいですか?
家に入る前に涙を拭いてると
「郁美」と声がかかる
達也が私を追いかけ
後ろに立っていた。
「達也」
「大丈夫か?」
「何が?」
「何がって……顔色が悪いし……泣いてるし」
「泣いてない」
「バレバレだ」
頭をコツンと叩かれた。
「田辺さんも再婚するし、桜ちゃんも母親ができる」
「うん」
「俺達に口出しする権利はない」
「うん」
「あっちも落ち着くから、俺達も落ち着こう」
つられて『うん』と言いそうになる自分を抑える。危ない危ない。
「私、結婚の話はまだ保留にしてるんだけど。どうしてあんな勝手な事言うの?」
文句を言うと
「事実だからいいじゃん」
しれっと答える。
「まだ事実じゃないから」
「事実にさせる」
怖いくらい
真剣な顔で達也は私を見下ろす。
「達也……」
「お前こそ現実を見つめろ」
そう言われて
達也は行ってしまった。
現実を見つめる。
生ぬるい風を身体に受けていても
背中が冷たくなってきた
夕方の出来事。
「郁美」と声がかかる
達也が私を追いかけ
後ろに立っていた。
「達也」
「大丈夫か?」
「何が?」
「何がって……顔色が悪いし……泣いてるし」
「泣いてない」
「バレバレだ」
頭をコツンと叩かれた。
「田辺さんも再婚するし、桜ちゃんも母親ができる」
「うん」
「俺達に口出しする権利はない」
「うん」
「あっちも落ち着くから、俺達も落ち着こう」
つられて『うん』と言いそうになる自分を抑える。危ない危ない。
「私、結婚の話はまだ保留にしてるんだけど。どうしてあんな勝手な事言うの?」
文句を言うと
「事実だからいいじゃん」
しれっと答える。
「まだ事実じゃないから」
「事実にさせる」
怖いくらい
真剣な顔で達也は私を見下ろす。
「達也……」
「お前こそ現実を見つめろ」
そう言われて
達也は行ってしまった。
現実を見つめる。
生ぬるい風を身体に受けていても
背中が冷たくなってきた
夕方の出来事。