隣に座っていいですか?
他人。
その通りだ。
よその教育方針に
私は何も言えない。
悔しくて腹が立つ。
でも
反論できない。
だから余計に悔しい。
「帰ります」
ボソッと呟き
帰ろうとすると桜ちゃんが走ってきた。
「いくちゃん」
すがる目で見られた。
あのへタレ
どこ行ってんだ!出て来いや!!
「仏壇に手を合わせてから帰ります」
もう好きにさせてもらう
私は勝手に和室へ行くと
あら?いつも開いている障子が閉まってる。
一瞬不思議に思いつつ
中に入ると
花が枯れてる。
空気が濁ってる。
きっと
扉を閉めきってるんだ
お茶とかお水とか
きちんと上げてるのだろうか
仏壇にホコリがある。
あんなにいつも綺麗にしてたのに
どんなに家の中がすさんでいても、この場所だけは聖域で綺麗にしてたのに。
枯れた花を取り
ポケットに入っていたハンカチでホコリを拭く。
背中で桜ちゃんが言う
「ゆいさんがおそうじするから、さくらもおとうさんもおそうじできません」
このアマぁ!!!!
花瓶の花を整理し
ある程度見れるようになってから、仏壇に手を合わせ、怒りに身を任せて婚約者を探すと、彼女は革のソファに座りネイルを気にしていた。
「亡くなった奥さんのお部屋なんて嫌でしょう」
見上げた根性してんじゃないの。