隣に座っていいですか?
「おつかれさま」
柔らかな声と髪が視界から下がってゆく

「あ……」
いきなりの流れで
心の準備がなかった私

「大人の時間」
ゆっくりと胸の谷間から顔を覗かせ、長い指先がパジャマの下を脱がせる。

「まだ早いよ」

「早くない」
笑って言い切り
私の両手首を片手でつかみ頭上で押さえつける。

恥ずかしい体制。
その腕から離れようとするけれど、男性の力というのは強くビクともしない。

「困った顔の郁美さんって」

「……何?」

「かわいい」

「すぐバカにする」

そっぽを向くと
また笑う。

「怒っても可愛い」

優しいキス

「笑っても可愛い」

甘いキス

「どんな顔でも可愛い」

深いキス。
互いの舌が絡み合い
求め合う。

彼の手がゆるみ
私はその背中に手を回す。

「紀之さん」

「はい」

「……大好き」

「僕も」

きつく抱かれ素肌を重ねる。

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