隣に座っていいですか?
夢ならいいのに
時間が止まればいいのに
嘘ならいいのに

でもそれは現実で
桜ちゃんは目をこすりながら、しっかり私達の寝室に入りジッと澄んだ目を向ける。

どうすればいいの
こんな場面見られて

どっ
どうすりゃいいの?

頭パニックになりながら桜ちゃんと目を合わせていると、私の背中の上で彼が静かに声を出す。

「マッサージしてるの」

その展開ですか?
それですか?
そこにしますか?

「マッサージ?」
桜ちゃんは小さなあくびをしてから、ゆっくりベッドに近寄る。

「そうだよ。桜も今日は頑張って偉かったね。ママも今日は頑張ってたよね」
優しい声を出しながら
さりげなくパジャマの上着を着る。

「うん。がんばってた」

「だからマッサージしてるの」

「そっか」

納得したのか桜ちゃんは笑顔で私の顔を覗き込み「いくちゃんママもえらかったね」と、可愛い声を出す。

ありがとう桜ちゃん。
全裸が情けないけど。

「さくらもマッサージする」

桜ちゃんは「よいしょ」とベッドに上がり、ついでに私の背中に馬乗り。

「いくちゃんママありがとう」

小さな手で一生懸命押している。
とっても温かい。

「けんと先生がね」

けんと先生?
あぁ副担の菅原 健人先生か?

「『さくらちゃんのお母さんって、お姉さんみたいでカワイイね』っていってたよー」

すると

「誰それ?何それ?教師が人の奥さんに色目使っていいのか?」

めんどくさい男がつぶやいてるし。
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