隣に座っていいですか?
「さくらはいくちゃんママがカワイイから、うれしかったよ」

可愛い事言ってくれる。
だから新米ママは頑張れるのだよ。

うなずいてたら

あら
背中が重い。

桜ちゃんがいつの間にか
私の背中で眠りについていた。

「連れて行きますね」
彼は言うけど私はパジャマを探しながら、そっと可愛い娘を背中より下ろす。

「いいよここで寝せよう」

「えっ?」

何をそんなに驚く?

「まだ途中なのに?」

「もうヤル気なくなっちゃった。また起きたら困るし」

「だって」

「ごめーん」

いや
わかるけどさー。
その中途半端な欲望をどう処理しようかってね……うーん。でもゴメン。

「次は必ず」

パジャマを着て
逃げるように桜ちゃんの隣で布団をかぶり目を閉じる。

「郁美さん」
泣きそうな声が聞こえるけど無視。

ごめん!

いや
今日は疲れました。

おやすみなさい。



いい夢を。



       【完】
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