隣に座っていいですか？

家に帰る前
借りてる外車は
坂の上の高級住宅街を走る。

見る家全てが高級で
別世界の住宅街の中

緑の芝生が広がり
ガレージがあり
出窓もバルコニーもある
お城のような家に車が入る。

広く大きいけど
可愛らしい家。

誰の家？

不思議そうに私が車を降りると、可愛らしい小柄な女の子が玄関から出てきた。

「おかえりなさい田辺さん」

「ただいま葵ちゃん。へタレ作家の先生は？」

「さっき叩き起こして、今はタバコ買いに行きました。奥さんですか？」

「そうそう。可愛いだろう」

「可愛いですねー」

お団子頭が可愛い女の子が、私を見て笑顔を見せる。

ここって
相川先生の家なのか。
メルヘンチックで想像と違う。
本当に
想定外な人だ。

そして
彼女が相川先生を調教する
最強家政婦なの？
こんな若くて小柄で？

すごっ。

「中に入って下さい」

「いや、また来る。車とスーツ返しに来るから。葵ちゃんにお土産買ってきた」

彼は帰りがけに買った
【バンビも大好き田舎まんじゅう】を彼女に渡すと大喜びで声を上げていた。

桜ちゃんに似てるな。

大きく手を振る可愛い女の子を背にして、車は我が家へ走り出す。