隣に座っていいですか?

「二ヶ月ぐらいで完治するって」

まぁ
笑顔が美しい事
お母様。

ぐるぐる腕に三角巾を巻き
できる事だけやってるお母さん。

お父さんは仏頂面。

二ヶ月後 頑張ろう。


あきらめて
そば屋のパートに励んでいると、店の扉が開き振り返ると誰もいない。

こんな時は
目線を落してみると

やっぱり桜ちゃん。

「いくちゃん大変だ!」

ドキリ
桜ちゃん二度目の『大変だ!』
今度は何?
また書類が書けない?

「お父さんがうごかなくなりました。『あしがいたい』ってないてます」

こっちは足かぁ?

「いくちゃんはやく!」

桜ちゃんはまた私の手を引き、自分の家に走る。

私はサンダルかけで
慌てて桜ちゃんに走りを合わせる。

オレンジ色した黄昏が
桜ちゃんの真剣な顔を染めていた。


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