隣に座っていいですか?
次の朝 6時という
少し早目の時間に田辺家を訪問。
「いくちゃん!」
早起き桜ちゃん。
遠足リュックを背中に、もう起きてます。
「おはよう桜ちゃん」
頭を撫でてから台所へと進むと、難しい顔で田辺さんは海苔をハサミで切っていた。
「あーー!また失敗だ!」
やっぱり叫んでる。
「おはようございます」
冷たい声を出し隣に並ぶと
「郁美さんおはよう。この海苔って意外と強敵だって知ってた?」
目が充血している。
どんだけ早起きした?
プリントアウトした完成図。
うずらの卵にゴマの目を付け、海苔で口を貼る。同じく小さなおにぎりにもそれをして、クマのキャラなので耳を付けてチーズで貼る。
人参を茹でて星形に切らねば。
いや、先にこのタコさんウィンナーをやっつけてゴマの目を付けた方が効率がいいかな……などと真剣に見ていると
「郁美さんカワイイ」
とんでもない事を言われて、息が止まりそうになる。
「なっ何です急に?」
心臓に悪い。
ドキドキが止まらない。
「いや……真剣な横顔見てたら桜みたいで、可愛いなぁって思っただけです。すいません」
さりげなく言われて
私がタコさんウィンナーになる。
「からかわないで下さい。急がないと間に合いませんよ」
ドキドキを追い出そう。
その優しい顔を追い出そう。
もう
ダメだ私。
ちょっと変だ!