隣に座っていいですか?

夜になり
達也が私を誘いに来て
ふたりで田辺家に訪問。

「いくちゃん。おにいさん」
庭にバケツを用意して
もう準備オッケー。
桜ちゃんは元気に私達に駆け寄り「いらっしゃいませ」ご挨拶。

「おじゃまします」
「用意できてるな」

ふたりで応え
庭へと進むと田辺さんの姿が見えた。

田辺さん。

お母さんや近所のおばさんを交えての立ち話はしているけれど、ここの家にはキャラ弁作りから足を入れてない。

達也の余計な一言と
心の中で引いている線が
私の足を止めていた。

「ビールも持って来ました」
達也が言うと

「最高ですね」

いつもの笑顔で迎えてくれる。

優しい笑顔
柔らかな声

やっぱり
近づいてはいけない人かもしれない。

「お兄さん早くやろう」

待ちきれない様子で桜ちゃんは達也に言い、達也は笑って「おーし」って、桜ちゃんを後ろから持ち上げてバケツの前に走って行く。

子供好きなんだよな。

黒のポロシャツから出ている腕が男の腕だ。

隣りの幼なじみが男に変換されてゆく。

このまま
嫁に行った方が
みんな平和に終わるのだろうか。

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