隣に座っていいですか?
楽しく花火は終わり
桜ちゃん大満足

いや
田辺さんの方が喜んでいたかも。

「花火なんて久し振りです」
ビールのプルタブを開き
強く言う田辺さん。

「よかったねお父さん」
桜ちゃんが言うとうなずいてるし

逆だよな……立場。

もう咲いてはないけれど
桜の樹の下
夜風を受けながら
花火の余韻とアルコールで火照る顔を冷やす。

大人3人と子供1人
白いテーブルを囲み
ちょっとした宴会気分。

幼稚園の話とか達也の仕事の話、三階建ての豪邸だけど、ほとんど三階は使わず段ボール置き場になっているという話やら……あの段ボール移動させただけなのね。片付けてはいないのね。

「さくらは、いくちゃんがあそびに来てくれてうれしいです」
うまい棒で乾杯してから
桜ちゃんは私に言う。

「いくちゃん。あんまりあそびに来てくれないから、さくらはさみしかったです」

じわっとくるわ。

「今度からいくちゃんと一緒に俺も来ていい?」
達也が言うと

「はい。さくらはクリーニングやのお兄さんも大すきですよ」

「そうかっ!」

よかったね
若い女の子にそんな事言われて

「郁美じゃなくて、桜ちゃんをお嫁さんにしようかな」

「何を言ってんのよ」
酔ったはずみでふざけた事言うな!と、怒ってやろうと思ったけど……達也の目はアルコールに沈んではいない。

いつもの
真面目で澄んだ目が何かを決意したように、私をジッと見ていたので心拍数が上がり嫌な予感も上がる。
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