わたしは彼を殺した、そして彼に殺される〜50years later〜
夜が明けて、人通りも多くなってくる。

壁にもたれかかり体育座りしてる子供…

みんな、チラッと一瞬は見る。

が、そこまで…

そんな姿にだれも声をかけなかった。
手を差し伸べなかった。

子供が単に外で寝てるだけ、
あるいは悪いことをして家を追い出されたのか…

(ま、どっちにしろ関わらないのが正解)

(もぅ、こんな朝の忙しい時間に目障り)

心の声だけがして、みんな足早に去る。

彼にはもう「たすけて」 という声さえ絞り出せない。

頭を上げることさえできなかった。

うつろな目で…

通り過ぎる人たちの足元をじっと見つめるだけ。

彼に心を開く場所、

開いてくれる場所は最後までないまま…

気づいたらこっちにいた。
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