よびすて。
ずっと『吉田優斗』のことが頭から離れない。
この席に座ってたんだ..
窓から見えるこの景色を見てたのかと思うと顔がほころぶ。
「ユキ、移動教室だよ??」
「あっ、そっか。次は..」
「理科だよ。科学室。」
理科か..
理科苦手なんだよね..
去年はテストのたびに赤点をとり、1人だけ残されたという記憶しかない。
自慢ではないがここだけの話、理科以外は学年トップなのだ。
「ユキ、今年も居残りかな??」
笑いながらカオリが言う。
そんなこと言いながらもカオリだって理科の点数のひどさなら私に負けてはいない。
つまり「どんぐりの背比べ」状態だ。
科学室のドアを開けると
「おそいぞ~。」
もう始まってたのか。
「すみませーん。」
カオリはおちゃらけながら入っていく。
「すみませんでした。」
ぱっと顔を上げると目が合う。
やっぱり『吉田優斗』と目が合うと目が離せない。
「先生、白衣着てるね。」
「理科の先生だもん。」
ホントだ、白衣着てる。
「おい、園田。」
「ユキ、呼ばれてるって!!」
カオリに言われてぼーっとしてたことに気付いた。
「園田。園田ユキ。」
「あ、はい。」
「お前、居残り。」
「な、なんでですか??」
「授業に遅刻、春休みの宿題未提出、授業を聞いていないからだ。」
げっ..
ばれか。
半分は『吉田優斗』お前のせいだ。
しかもクラス中笑ってる。