先生と教官室3~沢山の初めて~
驚いて顔を先生の方へと向けると、そこには少し濡れた先生の目があった。
先生、どうして泣いてるの?
あ、でも少し微笑んでる…すごく優しい表情だ…。
「好きだよ。」
そう言って、先生は私に覆いかぶさるようにゆっくりと抱きしめる。
さっき頬に落ちてきた先生の涙と先生の体温がとても暖かくて、ゆっくりと私の身体から緊張が解けていく。
「伊緒、抱くぞ。」
先生の言葉に、私はゆっくりと頷く。
優しい先生。
あったかい先生。
大好きな先生。
3年間も我慢させてしまってごめんなさい。
これからは先生の期待に答えられるような大人になるよ。
だから、もう我慢しないでね。
「伊緒……。」
「せ……んせっ……」
それから先生がくれた初めては、全部が忘れられないものとなった。
優しいキスも、体温も、今まで知らなかった先生の表情も、何もかも忘れられない私の宝物。