先生と教官室3~沢山の初めて~
お互い何も言わず、ただただ布団ごしに身体をひっつける。
すると、しばらくしてから先生が口を開いた。
「伊緒、何食べたい?」
「え?」
「腹減っただろ?今日の朝御飯は俺が作るよ。」
「え、えっと、えーっと…ハムサンド?」
「ん、じゃあ着替えながら待ってて。」
そう言って私の頭をポンポンとしてから、先生はベッドを離れようとする。
え、ちょ、まって…。
「待って、先生っ!!!」
とっさにキッチンへ向かおうとする先生を引き留めようと、思いっきり手を後ろに引っ張る。
すると、バランスの崩した先生はそのままベッドへと倒れた。
「…何だよ伊緒、びっくりするだろ?」
「す、すいません…つい……。」
「どうした?何か俺に用があったのか?」
「え…えっと……。」
正直なところ、何で自分がこんなことをしたのかという理由が特定できていない。
身体が勝手に動いたというか、なんというか…。
ただ、今まで近くに居た先生が離れてしまうのが寂しいとか思ったり。
それから……。
「先生、ありがとう。」
無性にこの言葉を先生に伝えたかったとか、それだけのことなんだ…。