先生と教官室3~沢山の初めて~
「…………は?」
「……だから、今の話しは全部嘘です。」
父親からそんな注意をされたことなんて一度もないし、むしろ最近仕事が忙しすぎて会えてもいない。
会社に泊りのことも多いし、家ではお母さんと2人で過ごしていることが多い。
それに、私と先生の関係を何となく把握しているお母さんが色々手回しをしてくれているお陰で、男性と交際していることすら知らないかもしれない。
「伊緒、お前ってやつは……」
「ふふ、びっくりしました?いつもやられっぱなしなので、たまには仕返ししようと思いまして。」
父親の話しが嘘だと知って、安心したのか、気が抜けたのか、何とも言えない表情をする先生。
「…………ん?んんん?」
いや、これは………この表情はもしや………
「伊緒、おいで。」
「え。」
「いいから。」
えぇぇぇぇぇぇぇぇ怖いよぉぉぉぉぉ!!!!!
『おいで』とか優しそうな言葉言ってるけど、顔はめちゃくちゃ怒ってるって!!
「…先生?あの、えっとですね、少しお話しを…」
「うるさい、俺は今怒ってんだよ。いくぞ。」
「えっちょちょちょ!!!」
私の想像通り怒っていた先生は、中々動かない私の手を握り歩き出す。
先生の大きな歩幅が向かう先は、私の想像をはるかに超えるところだった。