今宵、きみを想う
ひたすら、ただ見つめた。
貴方の薬指あたりを、ただ―――
その行為に意味はあるのか分からないけれど、ただそこを見つめたまま目が逸らせなかった。
幾ばくか時間が流れたころ、カタンと音を立てて貴方は立ち上がった。
「あ……」
返事も何もしてないのに、立ち上がってしまった貴方に私は慌てた。
だって、どうして立ってしまうの?
待って、お願い。
ほんの少しでいいから、待って―――
そう思うのに、その言葉すら出ない私に
「ホラ、だから言っただろ? お前には、俺を選べない。終わろう、俺たち」
ポン
私の肩を軽く叩いて、貴方はそのまま去って行った。
―――私はまた、静かにその場に座った。
もう、何も考えたくはなかった。
*
貴方の薬指あたりを、ただ―――
その行為に意味はあるのか分からないけれど、ただそこを見つめたまま目が逸らせなかった。
幾ばくか時間が流れたころ、カタンと音を立てて貴方は立ち上がった。
「あ……」
返事も何もしてないのに、立ち上がってしまった貴方に私は慌てた。
だって、どうして立ってしまうの?
待って、お願い。
ほんの少しでいいから、待って―――
そう思うのに、その言葉すら出ない私に
「ホラ、だから言っただろ? お前には、俺を選べない。終わろう、俺たち」
ポン
私の肩を軽く叩いて、貴方はそのまま去って行った。
―――私はまた、静かにその場に座った。
もう、何も考えたくはなかった。
*