今宵、きみを想う
 今日、同窓会があるって気づいたのは遅かった。


 地元を離れ、たまには実家にも顔だそうかなと思って、たまたま友達に電話をした時だったから。

 
 本当に偶然に知ったのだ。


 『実家帰るけど、会える?』


 そんな何てことない電話。

 
 他愛もない会話で終わるはずだった電話。


 それなのに―――


 『ねぇ、同窓会あるらしいよ?』


 その言葉に心が躍った。


 だって、その同窓会には―――


 『彼、来るらしいけど? アンタも行ってみれば?』


 暗い気持ちを払しょくさせるほどの朗報に、私の気持ちは高揚した。



 ―――キミに会えるかもしれない



 それだけで未来が輝いた気がした。


 どうしても、どうしても会いたい。


 ただ、会ってみたい。


 今の彼が見たい。


 声が聞きたい。



 そして願わくば……



 あの頃の気持ちを、聞いてみたい。


 怖くて怖くて、聞けなかったことを。


 聞いてみたかった。
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