今宵、きみを想う
 *


 ギシギシと音を立てて彼がベッドを揺らす。



 甘い吐息を漏らす私。


 熱い吐息を漏らす彼。





 どこにも行かないよ。


 私は、アナタが好きだから。




 何度もそう伝えるのに、腕の中に閉じ込めるようにして私を抱く。


 抱かれている間は、私はアナタの腕と言う名の檻の中。

 

 


 でも心はとっくに閉じ込められているってことに。



 そろそろ気が付いてもいいんじゃない?



 「俺の元からどこにも行くな」



 そう言って。



 今日も私の思考を真っ白にさせる。



 いつもそう。



 そしてまた、私の心が届かないまま意識を手放した。



 *
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