今宵、きみを想う
 どことなく上の空な感じがする君。


 だけど、昔と同じ笑顔で俺を見て



 「おめでとう」



 と言ってくれた。


 あの時。


 卒業式の日に見ることが出来なかったその笑顔を見て、俺は嬉しくなった。



 もう俺の一番は君じゃないけど、それでも君の笑顔はやっぱり素敵だなってそう思った。



 ―――彼女は、どうしてるんだろうか……



 君の笑顔と、そして同窓会というシチュエーションが嫌でも彼女のことを思い出させた。


 幼かった俺が、ずるずると引きずって想っていたもう一人。


 元気だったら、いいなと思う。




 本当に、ただそう思っただけなのに―――




 1次会が終わって外に出てみて、俺は固まった。
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