今宵、きみを想う


 本当は好きだったくせに。


 ずっとずっと、キミが大好きだったくせに。


 最後の最後まで好きだと言えなかった。


 それだけは、言っちゃダメな気がしてずっと隠してしまった。


 清らかな関係。


 本当に手を繋ぐ以上のことがない「フリ」の彼氏彼女の関係。


 キミはそれを甘んじて受け入れてくれて、そして私に付き合い続けてくれた。


 そして、卒業式の日。


 ―――最後に、最後にこれだけは言いたい。


 そう思ったのに臆病な私は最後まで逃げてしまった。



 『ねぇ、最後にキスしてくれない?』



 キミは私を見て、苦笑いして。


 そして―――
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