今宵、きみを想う
 ――――――


 「まさか、来るなんて思わなかった」


 昔と同じままの優しさをまとった彼が、近くのコンビニの前で缶コーヒーのプルタブを開けながら言った。


 「うん、私も」

 「なんだよそれ」

 
 私の意味不明な返答にカラカラと笑う彼。

 
 それに、クスリと笑って


 「本気で自分が動くと思ってなかった」


 と漏らして、ご馳走してくれたカフェオレを飲んだ。


 「衝動的って言うのかな……来るって聞いたら、無性に逢いたくなって。自分が呼ばれた同窓会でもないのに。なんか邪魔してごめん」


 とりあえず思いついたことを捲し立ててぺこりと頭を下げると、彼は昔と同じ、少しだけ苦みを帯びた笑顔を見せた。


 「いいよ。どうせ一次で帰ろうと思ってたし。俺も、思い出してたとこだから」


 って、言ってくれた。
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