今宵、きみを想う
 あっという間に、貸し切っていた3時間は終わって。


 カラオケに行こうと叫ぶ人や、飲みに出ようというメンバーに別れつつあった。



 ―――どうしよう。



 彼から告げられた真実にショックを隠せず、ひたすら黙って飲んでいたら少し酔っぱらってた。


 体がほんの少しふらつくのを自分でも感じる。


 でもこのまま一人にはなりたくなくて、誰かにくっついてどこか行こう。



 そう思った矢先―――



 「よぉ!」



 幼馴染ともいえる、アイツが居た。



 2年以降で同じクラスになった子たちが、わらわらと彼を囲み談笑し始める。



 その光景をぼんやりと見ていたら、



 「悪い。コイツ多分酔ってるだろうからって、コイツの母さんに頼まれてて。俺連れて帰るわ」

 「は……!?」



 彼は私の右ひじを当たり前に掴むと、みんなにひらひらと手を振って、その場を後にした。
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