今宵、きみを想う
 「痛っ」

 「だから、痛くしてんだってば」

 「もー、なんでそういうことすんの!?」

 「わかんねーのお前?」

 「分んない、けど……」



 射るように私を見つめる瞳に、怯みながら答えると



 「お前を痛めていいのは俺だけなんだよ」

 「は……?」

 「っつーか。俺以外の奴のことで、お前が痛い思いすんの、許せねぇんだけど」

 「はい!?」



 だから、コイツいつの間にこんなキャラになったんだ!? と私はついていけずにパニックに陥る。



 今日私は、クラスの同窓会だったわけで。


 好きだった彼が、結婚していたというショックを受けたばかりのはずで。


 それなのに、この展開は……私には急すぎて、ついて行けない。



 「あのさ」「2択だから」



 切り出した私を遮って、彼は宣言する。


 「へっ?」



 くっ付けた額を離して、私の両肩に手を置いて、肘を伸ばした分だけの距離を置いた。



 そして
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