今宵、きみを想う
 *


 目が覚めて、君が隣に居るのを確認して安堵した。


 柔らかな彼女を引き寄せると、優しく微笑んでどうしたのと尋ねる。


 変わらない表情。


 変わらない声。


 ずっとずっと、愛しい人。



 「ずっと、傍にいてくれよ」


 
 寝ぼけたふりをして彼女にすり寄りながら、素肌の彼女に触れる。


 彼女に触れているこの瞬間だけは、君を独占している気になって、たまらなく幸福感に満たされる。


 背骨を辿って、首筋にゆっくりキスを落としていくと、彼女がピクリと震えた。


 あれだけ求めたのに。


 まだ足りないと思う自分に呆れながら目が覚めた。


 ―――ダメだ。


 もう、欲しくなってる。
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