プラスチック


突然の声の主は、同じクラスの佐伯君だった。
私は、声の方を振り返り言い返す。

「泣いてないよっ」

色素の薄い髪を冬の風になびかせ、私の強がりに彼が苦笑いを浮かべる。
だけど、その直ぐあとに柔らかい笑顔に変えた。

「佐伯君。なんでここにいるの?」

私は、少しだけ不満の色を浮かべて訊ねる。

「武内ってさ。いつもここに来てるだろ?」

私の質問が聞こえていない筈はないのに、すっかり無視して自分の言いたい事を話し始める。


< 9 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop