プラスチック
突然の声の主は、同じクラスの佐伯君だった。
私は、声の方を振り返り言い返す。
「泣いてないよっ」
色素の薄い髪を冬の風になびかせ、私の強がりに彼が苦笑いを浮かべる。
だけど、その直ぐあとに柔らかい笑顔に変えた。
「佐伯君。なんでここにいるの?」
私は、少しだけ不満の色を浮かべて訊ねる。
「武内ってさ。いつもここに来てるだろ?」
私の質問が聞こえていない筈はないのに、すっかり無視して自分の言いたい事を話し始める。